就労移行支援の就職率は?実際に就職できるのかを定着率・就職先から検証
就労移行支援の利用を検討している中で、本当に就職できるのかと不安に感じている方もいるでしょう。
就労移行支援から一般企業へ就職を果たす人の数は、年間約1万6,000人です。
ほかの就労支援サービスと比較して圧倒的に就職率が高いため、一般就労を目指す多くの方にとって最適な選択肢になり得ます。
本記事では、就労移行支援の就職率データを、さまざまな角度からまとめました。
通所する事業所の選び方も解説するため、就職の可能性を高めたい方は参考にしてください。
就労移行支援の就職率は58.8%【厚生労働省データ】
2023年度における就労移行支援の就職率(一般就労移行率)は、58.8%であることが明かされています。
直近5年間の推移は以下のとおりです。
| 年度 | 一般就労移行率 | 一般就労への移行者数 |
|---|---|---|
| 2018年 | 52.9% | 1万2,244人 |
| 2019年 | 54.7% | 1万3,288人 |
| 2020年 | 53.4% | 1万1,614人 |
| 2021年 | 56.3% | 1万3,946人 |
| 2022年 | 57.2% | 1万5,094人 |
| 2023年 | 58.8% | 1万5,675人 |
2020年はコロナ禍で就職活動が難航したことを考慮すると、移行率・移行者数ともに年々増加していることが分かるでしょう。
就労移行支援の就職率には、ほかにも以下のような特徴があります。
- ほかの就労支援サービスよりも就職率が高い
- 就職後の定着率も平均を大きく上回る
詳細を見ていきましょう。
参考:厚生労働省|一般就労への移行者数・移行率の推移(事業種別)
就労支援系の障がい福祉サービスには、就労移行支援のほかに「就労継続支援A型・B型」があります。
3つのサービスにおける直近3年間の就職率を比較すると、就労移行支援が圧倒的に高いことが分かります。
| 年度 | 就労移行支援 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 |
|---|---|---|---|
| 2021年 | 56.3% | 22.0% | 10.1% |
| 2022年 | 57.2% | 26.2% | 10.7% |
| 2023年 | 58.8% | 26.9% | 11.2% |
就労継続支援A型・B型は、利用期間が就労移行支援よりも長くなります。
その点を考慮すると、実際の就職成功率にはより大きな差が出ているといえるでしょう。
関連記事:就労移行支援の就職率は?実際に就職できるのかを定着率・就職先から検証
参考:厚生労働省|一般就労への移行者数・移行率の推移(事業種別)
就職率がよくても、すぐに退職してしまっては意味がありません。
就労移行支援は、就職後の職場定着率も平均を大きく上回ることがメリットです。
就労移行支援を受けた方の、1年後の就労定着率は「82.3%」であることが分かっています。
障がい者全体平均と比較すると、差は一目瞭然です。
| 対象 | 1年後の就労定着率 |
|---|---|
| 障がい者全体 | 58.4% |
| 就労移行支援を受けた方 | 82.3% |
仕事を続けられるか不安に感じている方にも、就労移行支援は最適なサービスだといえます。
参考:障害者職業総合センター|障害者の就業状況等に関する調査研究
参考:厚生労働省|令和5年度 総合評価書 分野横断的に実施している政策の評価について
就労移行支援を利用しても就職できない3つの原因
残念ながら、就労移行支援を利用したすべての方が就職できるとは限りません。
就職に至らない代表的な原因は、以下のとおりです。
- 通所や就活を継続できていない
- 業種や条件へのこだわりが強すぎる
- 事業所の支援方針とミスマッチがある
それぞれ見ていきましょう。
関連記事:就労移行支援の利用条件とは?対象者や期間・申請の流れを解説
体調不良などの理由で通所できない日が続くと、就職活動に時間を費やせず、結果として内定につながらない可能性があります。
就労移行支援は、利用期間が 原則として「2年(24ヶ月)」と定められているからです。
加えて、企業の面接では「休まずに通所できているか」を問われることがあります。
欠席が続いていると、企業側の不安材料となり、就活で不利になる可能性もあるでしょう。
こうした理由から、週5日程度の通所を継続できないケースでは、就職に至らないことがあります。
体調に不安がある方は、主治医にサービス利用の見解をうかがうとよいでしょう。
「事務職のみ」「自宅から徒歩30分圏内」など、条件を絞るほどマッチする求人は少なくなります。
結果として内定を得られるチャンスも少なくなり、就職に至らない可能性があります。
もちろん、仕事を継続するうえで、希望の条件を軸に企業を探すことは問題ありません。
しかし、 ときには現実との折り合いをつけなければならないこともあるでしょう。
就活が順調に進まないときは、支援者とともに目標設定を見直し、柔軟に対応していくことが大切です。
就労移行支援事業所ごとに、カリキュラムや支援方針、支援員の質は異なります。
自分が習得すべきスキルと、事業所の支援内容がマッチしていない場合、就活が思うように進まないことがあります。
事業所を選ぶ際は、ミスマッチを防ぐために以下のようなポイントを確認しておきましょう。
- 身につけたいスキルを習得できるカリキュラムが用意されているか
- 実践的な就活サポート(面接練習、書類添削など)が充実しているか
- 障がい特性を理解してくれるスタッフがいるか
相性のよくない事業所を選ぶと、通所が苦痛になってしまうことも少なくありません。
就職率を高めるには、複数の事業所を比較したうえで、自分にマッチする場を選ぶことが大切です。
関連記事:就労継続支援A型・B型の違いとは?デメリットや向いている人を解説
就職率を高める就労移行支援事業所の選び方
就労移行支援で就職できるかどうかは、事業所選びに大きく左右されるといっても過言ではありません。
支援の質や就職実績は、事業所ごとの差が激しいからです。
以下では、失敗しない就労移行支援事業所の選び方を解説します。
- プログラム内容がマッチする事業所を選ぶ
- 就職率や定着率を確認する
- 事業所の雰囲気や職員との相性を確かめる
詳細を見ていきましょう。
就労支援事業では「何を指導すべきか」を示す具体的なルールが存在しないため、事業所ごとに支援内容が異なります。
| 習得を目指すスキル | 内容 |
|---|---|
| 社会的スキル | ・コミュニケーションや自己管理能力 ・ビジネスマナー ・障がい特性や強み・弱みの理解など |
| ビジネススキル | ・パソコン操作 ・電話・来客対応 ・スケジュール・タスク管理など |
| 専門スキル | ・Web制作 ・検品などの軽作業 ・農作業など |
| 就活スキル | ・職場実習 ・履歴書・職務経歴書作成 ・面接練習など |
事業所を選ぶ際は「自分がとくに身につけたいこと」と「事業所の注力ポイント」が一致していることを確認しましょう。
2023年4月時点での就労移行支援事業所数は、全国で2,934か所です。
中には実績に乏しい事業所も存在するため、必ず 「就職率」「定着率」を確認しましょう。
多くの事業所では、就職率・定着率を以下の式で算出しています。
- 就職率=就職者数÷利用者数
- 定着率=定着者数÷就職者数
小規模な事業所では具体的な数値を公表していないことがあるため、問い合わせや見学の際に質問しておきましょう。
参考:厚生労働省|令和5年度 総合評価書 分野横断的に実施している政策の評価について
就労移行支援の就職までの流れ
- 自己理解を深め、生活リズムを整える
- 対人スキルやビジネスマナーを身につける
- 自分の適性を見極める
- 就職活動をする
細かな内容は事業所ごとに異なりますが、大枠のイメージを掴んでいきましょう。
一般就労を目指すうえでの第1段階は、自分の障がい特性を理解し、規則正しい生活を送ることです。
働くためには、体調を安定させることはもちろん、一定のリズムで日々を過ごす必要があります。
具体的な訓練の内容は、以下のとおりです。
- 服薬への理解を深める
- 決まった時間に起床・就寝する
- 金銭管理やスケジュール管理能力を身につける
- 社会人としてふさわしい身だしなみを理解する
- 自分のできること・できないことを明確にする
- 苦手な場面・状況を把握する
こうした能力がすでに身についている場合は、次のステップから訓練を始めることもあります。
一般企業で働く場合、上司や同僚と良好な人間関係を築ける力は必要不可欠です。
以下のような訓練を交えて、基礎的なビジネススキルの習得を目指します。
- 相手を思いやる言葉のかけ方や、場面に応じて適切な発言ができる力を養う
- 報・連・相の仕方を学ぶ
- 感情コントロール(アンガーマネジメント)を身につける
- 勤怠(遅刻・欠席など)に関するルールを学ぶ
机上の理論ではなく、実務で使える能力を身につけることが特徴です。
関連記事:障がい者就労支援でかかる費用とは?お金がないときの補助制度も紹介
就職活動において欠かせないのが自己分析です。
職場実習や模擬ワークを通じて、以下のような「適性」を見極めていきます。
| 項目 | 判断基準の例 |
|---|---|
| コミュニケーション | 顧客と直接関わる仕事ができるか |
| 体力 | 体に負担がかかる作業に向いているか |
| 知識 | 専門知識を身につけられた分野があるか |
| 作業スピード | スピード重視か、正確性重視か |
| 業務の性質 | 非定型業務か、ルーティンワークか |
上記は一例であり、分析すべき項目は多岐にわたります。
作業を行う中で強み・弱みを分析し、自分に向いている仕事を探すための準備を整えましょう。
仕事に必要なスキルを身につけ、自己分析を十分に行ったら、いよいよ就職活動です。
面接を受け、内定を得るまでには踏むべきステップが多数あります。
| ステップ | 詳細・ポイント |
|---|---|
| 職種研究 | 働きたい業界の特徴(課題、将来性など)を調べ、自分に合いそうな職種をリストアップする |
| 条件の検討 | 年収450万円以上、愛知県限定など |
| 求人検索 | 求人サイトやハローワークなど、複数の情報源を利用する |
| 企業研究 | 企業のWebサイトや説明会で、理念・社風・求める人物像などを調べる |
| 応募書類作成 | 志望動機や自己PRは、企業の求める人物像を考慮して書 |
| 面接準備 | 姿勢や話し方、身だしなみに注意して面接練習をする |
就活の中で疑問や不安が生じた際は、支援員にサポートしてもらいながら準備を進めましょう。
面接を終え、無事に内定がもらえれば、指定された日から仕事がスタートします。
就労移行支援のおもな就職先
就労移行支援の利用者は、どのような企業へ就職しているのでしょうか。
障がい者の就職先割合を、以下の項目に分けて見ていきましょう。
- 業種別の就職先割合
- 職種別の就職先割合
それぞれ解説します。
業種別の雇用者数割合を、障がい種別ごとにランキング形式でまとめました。
| 障がい種別 | 1位 | 2位 | 3位 |
|---|---|---|---|
| 身体障がい者 | 製造業21.3% | 卸売業・小売業21.2% | サービス業14.9% |
| 知的障がい者 | 卸売業・小売業32.9% | 製造業15.4% | サービス業13.2% |
| 精神障がい者 | 卸売業・小売業25.8% | 製造業15.4% | 医療・福祉13.8% |
| 発達障がい者 | 卸売業・小売業40.5% | サービス業14.6% | 製造業10.2% |
雇用者数割合を職種別でまとめた結果は、以下のとおりです。
| 障がい種別 | 1位 | 2位 | 3位 |
|---|---|---|---|
| 身体障がい者 | 事務的職業26.3% | 生産工程の職業15.0% | サービスの職業13.5% |
| 知的障がい者 | サービスの職業23.2% | 運輸・清掃・包装など22.9% | 販売の職業16.8% |
| 精神障がい者 | 事務的職業29.2% | 専門的・技術的職業15.6% | サービスの職業14.2% |
| 発達障がい者 | サービスの職業27.1% | 事務的職業22.7% | 運輸・清掃・包装など12.5% |
3つの障がい種別で「事務的職業」がランクインしており、多くの方にとって働きやすい仕事であることがうかがえます。
参考:厚生労働省|令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書
関連記事:【2025年版】障がい者雇用率制度とは?計算方法や制度の現状を解説
就労移行支援の就職に関してよくある質問
就労移行支援に関して、多くの方が疑問に感じている内容をまとめました。
- 就労移行支援で就職できる人とできない人の違いは?
- 就労移行支援で就職までにかかる期間は?早く卒業できる?
- 就労移行支援事業所の見学では何を質問すべき?
- 就労移行支援を利用しても就職できなかった場合はどうする?
それぞれの質問に回答します。
就労移行支援を利用して無事に就職できる人には、以下のような共通点があります。
- 本気で就職したいと考え、積極的に行動している
- 自己管理ができ、やるべきことを後回しにしない
- 就職活動に十分な時間をかけている
- 周囲と適切なコミュニケーションがとれる
反対に、上記の条件を満たしていない場合は、 就労移行支援を利用しても就職できない可能性があるでしょう。
就労移行支援事業所が行うことは、あくまで就職のサポートであり、就職先の斡旋ではありません。
他人任せではなく、自ら考え行動する姿勢が求められます。
就労移行支援を利用し、就職に至った方の利用期間は以下のとおりです。
| 利用期間 | 就職者数 | 割合 |
|---|---|---|
| 2年以下 | 34,234人 | 93.5% |
| 2年超3年未満 | 2,178人 | 5.9% |
| 3年超 | 195人 | 0.5% |
平均利用月数は「15.9ヶ月(約1年4ヶ月)」で、半年程度で就職・卒業する方も一定数存在します。
最短で卒業するには、就職実績を重視して事業所を選ぶ必要があるでしょう。
参考:厚生労働省|就労移行支援・就労定着支援に係る報酬・基準について
参考:東京都福祉局|令和4年度 就労移行等実態調査 結果概要
事業所の見学に訪れた際は、自分にマッチした事業所かどうかを確かめるため、以下のポイントを押さえて質問しましょう。
- プログラムの内容や、注力している訓練
- 卒業生の就職率・定着率
- 実習先企業や連携先企業の有無
- 定員数・空き状況
あわせて、支援員の対応や相性も確認しておくことをおすすめします。
「忙しい中でも誠実に対応してくれたか」「質問に対して丁寧に回答してくれたか」など、信頼性に目を向けることが大切です。
利用期間の2年を過ぎても就職できなかった場合は、以下の解決方法があります。
- 就労移行支援の延長を申請する
- 職業訓練制度を利用する
- 障がい者用の転職エージェントを利用する
- 就労継続支援A型・B型に移行する
どの方法が適しているかは、障がい特性や現在の状況、就労の意向などによって変わります。
スキルや体調面の不安が大きい場合は、いきなり一般就労を目指さず、職業訓練や就労継続支援を利用することも1つの方法です。
65歳以上で就労移行支援を利用できるのは、以下2つの条件を満たす方です。
- 65歳に達するまえの5年間以上「障がい福祉サービス」の支給決定を受けている
- 65歳の誕生日前日において、就労移行支援の支給決定を受けている
要件に合致すれば利用できるものの、65歳以上で就労移行支援を利用している人の割合は「0.1%」に過ぎません。
事業の性質上、利用を希望する高齢者の数自体が少ないと予想されます。
なお、就労継続支援B型には年齢制限がないため、65歳以上の利用者は「9.1%」にのぼることが分かっています。
年齢に関係なく通所できる環境をお探しの方は、就労継続支援B型事業所も検討してみましょう。
まとめ
就労移行支援事業所は就職率を比較して選ぼう
事業所を検討する際は、就職率・定着率などの就職実績を比較して選びましょう。
体調やスキルの面で、一般就労を目指すことに不安がある方は、岡崎市のブリッジにご相談ください。
ブリッジは、多種複合グループ企業の就労継続支援B型事業所として、一人ひとりの「働きたい」をサポートしています。
グループ企業の連携力を活かし、さまざまな職種に挑戦できる環境を整えているため、無理なく就労の基礎を身につけたい方に最適です。
興味がある場合は、見学・体験をご検討ください。
