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障がい者の転職準備が難しい理由とは?就職までの流れや成功ポイントを解説

障がい者の転職準備が難しい理由とは?就職までの流れや成功ポイントを解説

障がい者の就職は難しいと耳にし、転職をためらってしまう方もいるのではないでしょうか。
障がい者雇用枠の就職・転職では、一般的な就活と異なる部分が多数あります。
キャリアチェンジを成功させるためには、入念な事前準備が欠かせません。

本記事では、障がいのある方が行うべき転職準備を、ステップごとに解説します。
活用できる機関やサービスもまとめているため、転職活動が難しいと感じている方は参考にしてください。

障がい者雇用の現状

2024年度における雇用障がい者数・実雇用率は、過去最高を更新しています。
前年との比較は以下のとおりです。
 

項目 2024年度実績 前年比
雇用障がい者数 67万7,461.5人 +3万5,283.5人(+5.5%)
障がい者実雇用率 2.41% +0.08%


障がい者の雇用が増加している背景には、障害者雇用促進法の改正があげられます。

一定規模の民間企業には、障がい者の雇用率を「2.5%」とすることが義務付けられています。
従業員数40人の企業では、1人以上の障がい者を雇用しなければならない計算です。

2026年7月以降は、対象企業規模が拡大するとともに、達成すべき雇用率は「2.7%」に引き上げられることが決定しています。
障がいのある方にとって、働くチャンスは今後も広がっていくでしょう。

参考:厚生労働省|令和6年 障害者雇用状況の集計結果
 

障がい者の転職・就職が難しいといわれる理由

社会全体の障がい者雇用数は増加しているとはいえ、就活が思うように進まず悩む方も少なくありません。
障がいのある方にとって、転職・就職が困難になる理由は以下のとおりです。
 

  • 障がい者雇用枠の絶対数が少ない
  • 適性のある職種を見つけにくい
  • 転職の準備が不足している

それぞれ見ていきましょう。
 
障がい者雇用枠の絶対数が少ない
 
一般枠の求人と比較すると、障がい者雇用枠の求人数は少ないため、限られた枠をめぐって競争率が高くなってしまいます。


たとえば、従業員数40人規模の企業が雇用すべき障がい者の数は「1人」です。
すでに雇用している障がい者がいる場合、求人が出ないことも考えられます。
結果として応募できる企業が少なくなり、就活が難航しやすいのです。

一方で、 法定雇用率を達成している企業の割合は45.9%であり、半数以上の企業は障がいのある方を求めていることが分かります。
一般の求人よりも絶対数が少ないとはいえ、スキルを有する人材は重宝されるでしょう。
 

適性のある職種を見つけにくい

就労経験が少ない障がい者の方は、自分の「できること・できないこと」「得意・不得意」が不明瞭なことも少なくありません。
そのため自分の魅力をアピールできず、就活で不利になることが考えられます。

自分の適性を見極めるには、以下のような観点で人生を振り返ってみましょう。

 
  • 何時間でも没頭できることは何か
  • どのようなことで評価されたり、褒められたりしたか
  • 「絶対にしたくない」と感じることは何か

向いている作業や仕事内容が分かれば、自分の能力を発揮しやすい職種・企業に応募できます。
企業からも「自社にマッチした人材だ」と判断されやすく、就活がスムーズに進むようになるでしょう。
 
転職の準備が不足している


障がい者雇用枠での就職を目指す場合は、一般枠の就活よりも入念な準備が必要になります。
以下のように、選考で説明すべき特有の事項があるためです。

 
  • 障がい特性や、できないこと
  • 企業側に配慮してほしいこと
  • 障がいがある中で貢献できること

準備を整えている人との差は、受け答えの明瞭さに大きく表れます。
とくに障がい者雇用枠は競争率が高いため、十分な準備によって他者との差別化を図る必要があるでしょう。

関連記事:【2025年版】障がい者雇用率制度とは?計算方法や制度の現状を解説

 

障がい者の転職を成功させる事前準備

障がいのある方は、転職活動のまえに以下の準備を進めましょう。
 

  • 障がい特性を理解する
  • 希望条件に優先順位をつける
  • ビジネスマナーや対人スキルを身につける

詳細を解説します。

 
障がい特性を理解する
 

まずは「避けるべき仕事」や「必要な配慮」を明確にすることから始めます。
障がい者雇用枠で就職する際は、自身の障がい種別や特性を企業側に伝える必要があるからです。

障がい特性の理解を深めるポイントは、以下のとおりです。
 

  • 日々の生活で「困難を感じること」を具体的な場面とともに記録する
  • 自分をよく知る人に、普段どのような配慮をしているか尋ねる
  • 主治医から症状・特性についてアドバイスをもらう

「客観的な視点」と「体験」を組み合わせて分析することで、履歴書や面接において適切な説明ができるようになります。

希望条件に優先順位をつける

仕事に求める条件は人それぞれですが、すべての希望が叶う求人を見つけるのは困難です。
以下のように、カテゴリ単位で「最低限譲れない条件」をリストアップし、優先順位をつけてみましょう。
 
カテゴリ 優先順位づけの例
健康・安全面 1.バリアフリーの職場
2.体調に応じて在宅勤務や時短勤務ができる
働きやすさ 1.配慮事項を受け入れてくれる会社
2.フレックスタイム制
成長・やりがい 1.キャリアアップ制度あり
2.人事評価基準が明確
給与・福利厚生 1.月の手取り額20万円以上
2.退職金制度あり

優先すべき条件が明確になれば、求人の取捨選択がしやすくなるだけでなく「マッチする企業が1社もない」という事態を避けられます。
 
ビジネスマナーや対人スキルを身につける
 

社会人としての基本的なスキルが身についていないと、一般企業で働くことはできません。
就活を始めるまえに、どのような職業でも求められる、以下のような知識・能力を身につけることが大切です。
 

  • 勤怠(遅刻・欠席など)に関するルール
  • 他者を尊重する話し方、場面に応じて適切な発言ができる力
  • 感情コントロール
  • 報・連・相の仕方

こうした能力は、座学だけでは身につきません。
家族や友人とのロールプレイや、障がい者コミュニティへの参加を通して場数を踏み、中長期的な視点で訓練しましょう。

障がい者の転職活動|就職までの流れ4ステップ

障がいのある方の転職活動は、以下の流れに沿って進めます。
 
  • 障がい者手帳を取得する
  • 求人を探す
  • 応募書類を用意する
  • 面接を受ける

ステップごとの注力ポイントを見ていきましょう。
 
1. 障がい者手帳を取得する


障がい者手帳を保有していない方は、はじめに取得しておくと就活がスムーズに進みやすくなります。
企業は障がい者雇用枠で人材を雇う場合、手帳の内容を確認する必要があるからです。

申請手順は、手帳の種類や自治体によって異なるものの、おおむね以下の流れで進みます。

 
  • 市区町村の福祉担当窓口で申請書・診断書の用紙を取得する
  • 指定医に診断書を記入してもらう
  • 申請書・診断書を提出し、判定結果を待つ
  • 審査によって障がい等級が決まり、手帳が交付される

手帳を取得すれば、就労において合理的な配慮を受けやすくなることに加え、各種福祉サービスの利用権も得られます。
交付までに数ヶ月を要するため、就活での利用を検討している場合は早めに準備を進めましょう。
 
2. 求人を探す

準備段階で整理した希望条件をもとに、障がい者雇用枠の求人を探します。
求人情報を集める際は、以下の機関を利用するのがおすすめです。
 
求人情報を探せる機関 特徴
ハローワーク ・障がい者専門窓口がある
・具体的なアドバイスや職業訓練が受けられる
障がい者職業センター ・就職・復職のための相談を提供している
・就職後のフォローアップも受けられる
障がい者専用求人サイト ・書類添削などの支援を受けられる
・非公開求人にアクセスできる

気になる求人が見つかったら、業界・企業研究を通じて応募先の情報を集めます。
企業ごとに「理念」や「求める人物像」は異なるため、理解を深めておけば書類・面接選考の際に効果的なアピールができます。
 
3. 応募書類を用意する


応募する企業に合わせて、履歴書・職務経歴書を作成します。
企業側がとくに知りたい点は 「どのような配慮が必要なのか」「自社で何ができるのか」です。

以下のポイントを押さえて記載することで、自分のことを理解してもらいやすくなります。
 

  • 障がい者手帳の等級を記載する
  • 業務上配慮が必要な部分を明確にする
  • 働くうえで工夫している点を述べる
  • 企業が求める人材であることを、自分の強みを交えてアピールする


企業によってPRすべき内容が異なるため、使い回しは厳禁です。
一社ずつ丁寧に作成することを心がけましょう。
 

4. 面接を受ける


面接では、書類の内容を深掘りして尋ねられます。
想定される質問事項をリストアップし、スムーズに答えられるよう繰り返し練習しましょう。

面接は、自分の強みをアピールする絶好の機会ですが、企業との相互理解を深める場でもあります。
とくに以下のようなポイントは、面接時にすり合わせが必要です。
 

  • 体調が優れない場合、勤務時間や勤務場所の調整が可能か
  • 職場環境(作業スペース、バリアフリーなど)に問題はないか
  • 配慮が必要な部分を企業側が実現できるか


条件や価値観にミスマッチがあると、勤務し続けることが難しくなります。
長期的な就労を実現するためにも、疑問・不安は十分に解消しておきましょう。
 

障がい者の転職準備をスムーズに進めるポイント

転職を検討している方は、以下のポイントを押さえておくと準備がスムーズに進みます。
 

  • 求人数が増える時期を把握する
  • 配慮が必要な事項を言語化しておく
  • 公的機関や就労支援事業所を有効活用する
 

それぞれ見ていきましょう。
 

求人数が増える時期を把握する


障がい者雇用枠の求人数が増えやすい時期は「2~3月」「4~5月」「8月~11月」です。
採用活動の活発化には、以下のような企業側の事情が関係しています。
 

求人数が増加する時期 理由
2~3月 新年度の組織改編に向けて4月入社社員の募集が増えるため
4~5月 障がい者の雇用数を6/1までに達成させる必要があるため
8月~11月 雇用率を達成できなかった企業が指導を受けて動くため
 

求人数増加の理由をふまえると、良質な求人が出やすいのは「2~3月」「4~5月」と予想できます。
「8月~11月」は、雇用率を達成できなかった企業の募集割合が高くなるからです。

障がい者の採用実績が少ない企業は、受け入れ環境が整っていない可能性もあります。
求人数が多い時期ほど、企業との相性を十分に確かめて就活を進める必要があるでしょう。
 

配慮が必要な事項を言語化しておく
  

障がい者雇用枠の選考では「どのような配慮をすれば働きやすいか」を必ず問われます。
企業側は、雇用した障がい者の早期離職を防止したいと考えているからです。

単に苦手なことを述べるのではなく、以下のように「自分で行っている対処法」もあわせて答えると前向きさが伝わります。

【回答例】
聴覚過敏なので、できる限り外部の音を遮断して集中力を保つようにしています。
イヤーマフの使用を許可していただけるとありがたく存じます。

【回答例】
肢体不自由なので、混雑時間を避けて移動するようにしています。
時差出勤やリモートワークを認めていただけると、問題なく業務を継続できます。

他者に分かりやすく伝えるのは、案外難しいものです。
事前に障がい特性を整理し、言語化しておくことで、書類・面接選考がスムーズに進みやすくなります。
 
公的機関や就労支援事業所を有効活用する
 
「就職関連の相談をしたい」という方は、質問内容に応じて以下の支援機関を利用できます。
 
質問内容 相談窓口・支援機関
働きたいが、何から始めるべきか分からない ・障がい者就業・生活支援センター
・ハローワーク
・指定相談支援事業所
就職に向けて利用できる制度や機関を知りたい
自分に合った仕事を知りたい ・障がい者職業センター

就職に向けて準備を整えたい方は、以下のような就労支援サービスを利用することも1つの方法です。
 
サービス種別 向いている方
就労移行支援 ・一般企業への就職を目指す方
・週4~5回の通所を継続できる方
就労継続支援A型 ・就労移行支援を利用しても就職に至らなかった方
・規則正しく勤務できる方
就労継続支援B型 ・体調が安定しない方
・就労のリズムを身につけたい方

関連記事:就労継続支援とは?A型B型の違いや対象者・仕事内容を分かりやすく解説
関連記事:就労継続支援A型・B型の違いとは?デメリットや向いている人を解説
参考:厚生労働省|どこへ相談すればいいか分からない方へ

障がい者の転職準備でよくある質問

障がいのある方からよく寄せられる転職関連の質問は、以下のとおりです。
 

  • 障がい者の転職で不採用になりやすい人の特徴は?
  • 障がい者が再就職した場合にもらえる手当は?
  • 50代の障がい者は就職が難しいって本当?

それぞれの回答を見ていきましょう。
 
障がい者の転職で不採用になりやすい人の特徴は?
 
障がい者雇用枠の選考でよくある不採用理由は、以下のとおりです。
 
  • 自分の障がいに対する理解が浅い
  • 体調が悪化した場合の具体的な対処法がない
  • 配慮事項に対応できない(項目が多すぎる、具体性がないなど)
  • 就労準備(自己管理、生活リズムなど)が不十分
  • 比較した際によりよい人材がいた


不採用理由の大多数は、事前準備で改善できるものです。
自己分析や基礎的なビジネススキルの習得、適性の見極めなど、中長期的な視点で対策を講じましょう。

一方で、中には自分で改善できない原因もあります。
「反省・改善」と「気持ちの切り替え」のバランスを取りながら、自分に合った就職先を探しましょう。

 
障がい者が再就職した場合にもらえる手当は?


障がいのある方は「就職困難者」に該当するため、再就職時に「常用就職支度手当」を受給できる可能性があります。
手当が支給される対象者は、以下の要件をすべて満たす方です。

 
  • ハローワーク経由で1年以上の雇用が見込まれる職業に就いた
  • 離職前の企業に再び雇用されたものでない
  • 給付制限期間が経過したあと職業に就いた
  • 常用就職支度手当を支給することで、該当者の職業が安定すると認められる
  • 就職日の3年以内の就職で、再就職手当または常用就職支度手当を受けていない

常用就職支度手当は、 失業保険の受給期間を一定数残して就職した際に支給されるものです。
支給額は、受給期間の残日数によって異なります。
 
残日数 常用就職支度金の額
90日以上 30日分の基本手当
45日以上90日未満 残日数×3分の1相当日数分の基本手当
45日未満 15日分の基本手当
 

所定給付日数が270日以上の方は、残日数にかかわらず30日分の基本手当が支給されます。


参考:厚生労働省|常用就職支度手当について
関連記事:障がい者就労支援でかかる費用とは?お金がないときの補助制度も紹介

50代の障がい者は就職が難しいって本当?
 
厚生労働省が公表しているデータによると、50代の障がい者雇用率は決して低くないことが分かります。
身体障がい者の雇用者は、過半数が50代以上です。
 
種別 10代 20代 30代 40代 50代 60代以上
身体障がい者 0.1% 6.3% 12.5% 18.1% 32.1% 30.4%
知的障がい者 2.0% 43.1% 27.2% 13.1% 11.2% 2.4%
精神障がい者 0.3% 24.6% 25.6% 24.4% 21.5% 3.4%
発達障がい者 1.2% 44.5% 25.1% 10.3% 14.5% 2.0%

ただし上記のデータには、雇用義務化のタイミングが影響しており、雇用率が高いからといって就職難易度が低いとは限りません。
事前準備を入念に行うことが、就職を成功させるポイントです。

参考:厚生労働省|令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書
関連記事:就労移行支援の就職率は?実際に就職できるのかを定着率・就職先から検証

まとめ

障がい者の転職準備は支援機関を利用しよう

障がい者雇用枠での転職を目指す際は、入念な事前準備が欠かせません。
自己分析や障がい特性の理解、配慮事項の把握など、一般枠での転職以上にやるべきことが多数あるためです。

公的機関や就労支援サービスを積極的に活用し、効率的に準備を進めましょう。

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利用日数・時間は、個別の事情を考慮して決めるため、長時間の作業に不安がある方でも安心です。
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